行きの新幹線で松浦が異性愛者かつ過去に6年付き合っていた彼女がいたと知り、冷たい水が体のうちに溜まったような暗澹とした気持ちになり、頭が冷えた感覚があった。
自分が松浦と再開した時期と少し被るなと思った。
別れたきっかけを聞いて(些細なことだった)、「それがきっかけじゃないでしょう」と言ったら、「ジェンガみたいに、ボロボロになって最後の一個を抜いたきっかけがそれだったんだ」と言っていた。
松浦が全然違う人に感じた。
そもそも自分と同じなどという勘違いを勝手にしていたのはこちらだというのに。

自分は納得できなくて、2日目に長々と討論というか口論をした。

お昼を食べている時恋愛は独占欲を含むから嫌だという旨の話題の時、松浦の元カノも束縛するタイプで当時松浦は女性の交友関係が元カノによって(真偽はわからないが)少なくなってしまった。また、でも独占欲や盲目を楽しむのが恋愛では、と言われて、黙ってしまった。
また、彼女ができたら他の女性と旅行に行ったりしないでしょう。松浦も葉月さんみたいに恋人ができたらかまってくれなくなるんだ、と言ったら松浦は何も言わなかった。
その後トイレに行って頭を冷やしたら、そうか。と冷静になった。
(この時気づいたが、頭に血が昇っているときトイレでブレイクタイムを挟むのはとても有効だ)

気づいたのは、自分が松浦が異性愛者だと言うことを、そして束縛を含む関係性を是としていることが納得できなかったこと、そしてなんで自分と同じ考え、セクシャリティじゃないの?と駄々を捏ねているだけだと言うことだった。自分は、物腰の柔らかい松浦に拗ねて、喧嘩をふっかけているだけだと思った。
しかし松浦は異性愛者で、それは変えようのないことで、文句をつけることですらなかった。
それから、できるだけこの話は避けて精一杯この旅行を楽しんでもらおうという方向に変えた。松浦は優しいので、ちゃんと楽しんでくれた。

2日目の夜、温泉に入りながら、自分は松浦の当時の彼女さんと松浦が羨ましかったんだなあと漠然と感じながら泣いた。
しかし自分は束縛したいわけでも付き合いたいわけでも結婚したいわけでもなかった。
苦しくて、誰か助けてくれ、という気持ちになった。

3日目に吉野山からの帰りの電車でうたた寝をしている松浦を向かいの席から見ていて、高校の時あれほど好きだった人と今2人で旅行に来ているのが不思議だと思った(多分、少し離れて見る松浦は高校時代の松浦ととてもよく似て見えた)。

帰りの新幹線でトランプをしていて、とても楽しかった。家に来て夜までトランプしたのも良かったし、松浦もトランプを楽しんでいるように感じた。

朝手を握る時に、ベッドの脇にしゃがんで、何かを言って去っていったのがとても暖かかった。


仕事中もずっと松浦のことを考えていて、なんでこんな気持ちにならなくちゃいけないんだろう、と思った。

退勤してスーパーに買い出しに行った帰り、松浦が当時の彼女さんと結婚を考えていた、と言っていたのを思い出して、松浦のことだからきっと大事にしたんだろうなとか優しくしたんだろうなとか考えて、やはり泣いていた。
僕は松浦と結婚なんかしたくないし、束縛もしたくないし、松浦が他の人と優しく話している姿が大好きだと思いながら、好きだからずっと一緒にいたいなと思った。
でもいつか結婚してあの時松浦が返事をしなかったみたいに僕と遊べなくなるし、僕も結婚した松浦なんて絶対に会いたくないから会いに行けないよ、と思った。

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